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はじめに

「NO」にも2種類ある。なるべく早く、この2つの差に慣れる


「肯定的な『NO』」という言葉は、世間には、ありません。
ONSA WORKSHOP の中で、よく使う用語です。

いわゆる「回復」作業の途中で、慣れるのが難しいかもしれないのが、この「肯定的な『NO』」。


「その考えは、現実をよくするのではなく、現実を害する考えのようなので、勧められない」
「それは、あなたのためにならないので、別のやり方をとった方がいい」


こういった質のものです。

それが、どういった質のものであれ、考えに同意されないというのは、それ自体で、抵抗があるものです。


あなたの未来を考えた「NO」は、「肯定的な『NO』」


いわゆる「回復」作業の、道のりの中、自分の意見に、ぜんぶ同意してもらえるとは、限りません。
別の方法を勧められることも、あるかもしれません。
ペースに関して、助言を受けることが、あるかもしれません。

自分自身では、
「これがいい、これがやりたい!」
と感じていても......。

「その方法は合わないと思う」
「早すぎると思う」
「今は、現実的ではないと思う」
こんなふうに意見されたり、進言されたり、断られるかもしれません。

でもそれは、未来を考えた「NO」。
つまり、理由があって、肯定的な文脈の「NO」です。



何が私たちの現実をめちゃめちゃにしたか、考えてみる

「肯定的な『NO』」がなければ、現実は、ますますめちゃめちゃに


いわゆる「共依存」者にとって、この「肯定的な『NO』」は、とても怖いことのように感じられます。

「NO」と言われることは、ただ単に、選択の問題。
選択には、「YES」か「NO」しかありません。
そして、人はいつでも大体、肯定的で前向き、建設的な選択の方を、提案してきます。

ところが、いわゆる「共依存」者にとって、「NO」という言葉自体が、時に、死活問題に感じます。
存在の拒絶や、考えの否定に、感じてしまうのです。



「これ以上傷つかないこと」は、実は、安全な解決策ではないかもしれない



それどころか、逆に、こんなことをしまうかもしれません。

「私は、大変な思いをしてきました。だから、否定的なことは、言わないでください」
「私を傷つけないでください」

「私を、特別扱いしてください」
「都合の悪いことは、聞きたくありません。知りたくありません。都合のいいことだけで、上手に『回復』させてください」


どんな結果を招いたのか、静かに考えてみる



静かな頭で一度、よく考えてみます。

私たちの、今までの人生の中で......。
関わってきた多くの人......同じく「共依存」者や、不健康な現実観をもつ大人たちが、このリクエストに、暗に「イエス」と言ってきた。

「どんなことであれ、とにかく、私を傷つけないで」
「私を、否定しないで」
「何も、意見しないで」

この、暗黙のメッセージに守られる形で、私たちの問題や苦しさ、生きづらさは、依然として継続したまま。
おかげで、恐れと恥の意識の中に、いまだ閉じ込められています。

これと反比例するようにして、現実を建設的に、健康に生きてゆく知識やスキルは、つかぬまま。
盲目的な恐怖ゆえ、「肯定的な『NO』」を拒んだばかりに、他ならぬ自分に、現実を生きてゆく力がつかないまま、今に至っているとしたら......。

それは、とても苦しいことです。
そして、苦しいのは、他ならぬ自分です。



「肯定的な『NO』」=「そのやり方は、うまくゆかない」


こんな状況を乗り越えて、新しいやり方を覚え、問題から解放されてゆくために。
威力を発揮するのが、「肯定的な『NO』」の力です。


「そのやり方は、現実には、うまくゆかない」
「やり方を、変えなければならない」


この、「肯定的な『NO』」。
意地悪な「NO」でも、批判的な「NO」でもなく、問題解決のための「NO」です。

この、「肯定的な『NO』」に心を開き、慣れてゆくこと。
この勇気であり変化が、「回復」作業にとって、とても大切になります。


問題にとどまり続ける人生は、最終的に、高くつく

その場しのぎのごまかしは、けっきょく、高くつく


「肯定的な『NO』」を受け入れることは、最初は少し、怖い感じがするかもしれません。
慣れない感じも、あるかもしれません。
とびきりの勇気も、必要かもしれません。

でも、その慣れない感じ。
それは、あなたが、今までやったことのない、新しい方法で、人生を歩こうとしているから、起こること。



人は、本当に必要なことを、心で理解できる


たとえ表面的に、感情や気持ちが、抵抗したとしても......。
(慣れないことは、怖い、イヤだ。恥をかきたくない!)

人間というのは、本当に賢く、健全な自己保存本能を持っています。
本当に自分のためになること・必要なことは、冷静に、理解できるもの。

表面的に、一時的に、「怖い」と感じたとしても。
深いレベルで「これは、自分にとって大切なこと/必要なこと」と、心で感じたら
勇気を出して、肯定的な「NO」に、心を開いてみてください


新しくて、自分のためになる、優しくて建設的な習慣。
習慣を再訓練して、古くて役に立たない習慣・パターンの外に踏み出すことは、素晴らしいことです。