ケアーにつながる[8]| 科学的な知識をもとに、「パーソナリティ障害」を見てみる

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ケアーにつながる[8]| 科学的な知識をもとに、「パーソナリティ障害」を見てみる


| 科学的な知識をもとに、「パーソナリティ障害」を見てみる


発達障害の項でもそうでしたが、パーソナリティ障害の項でも、とにかく「常識範囲」という言葉が、何度も出てきました。
「常識範囲」というのが、理解の、ひとつのキーポイントとなりそうです。

それでは、この「常識範囲を逸脱する」とは、パーソナリティ障害を理解する視点で言えば、具体的にどういうことでしょう。


理解のために、今度は、別の言葉で見てみます。
東京大学大学院・下山晴彦教授監修の、『よくわかる臨床心理学』の書籍情報を元に、理解を進めてゆきます。

この書籍中では、パーソナリティ障害が、どのように定義されているのか。
順番にひとつずつ、実感レベルの言葉もともないながら、情報を見てゆきましょう。
以下、引用エリアの中の文章はすべて、『よくわかる臨床心理学』からの引用となります。

| パーソナリティ障害とは

パーソナリティ障害とは、思考・感情・行動などのパターンが平均からいちじるしく逸脱し、社会生活や職業生活に、支障をきたしている状態のことをさします。


まずは、ここまでの情報を、丁寧に整理します。
「常識範囲を逸脱する」ということが、具体的にどういうことをさすかというと、社会生活や職業生活に支障を来す、レベルのことをさします。

社会生活が送りづらくなったり、仕事が回らなくなるようなレベルであれば、じゅうぶん「疑いレベル」です。

社会生活が送りづらくなったり、仕事が回らなくなるレベルまで、パーソナリティ(人格)部分に問題・苦しみを生じていたら。
パーソナリティ障害の疑いがあります。
これは、「社会生活が、完全破綻している」という、極端なレベルのみならず、仕事をたびたび変わる・仕事が長続きしない、社会的に不適応を起こしている、といったことも含みます。


「パーソナリティ障害」とは、「クセのつよい性格」の意味ではない

説明は、以下のように続きます。

パーソナリティは本来その人の個性であって、様々な偏りがあるのは当然です。実際、ここで紹介する思考・感情・行動の特徴は、程度の差こそあれ、誰しもがもっている傾向であるといえます。


本来、パーソナリティ(人格)の部分は、全員が異なります。
同じパーソナリティ(人格)を持った人は、世界中に一人もいません。


それゆえ、パーソナリティ(人格)の部分においては、誰もがそもそも、その人なりの「クセ」を持っています。
その人なりの個性や、性格のユニークさといったことは、もちろん障害ではありません。

もう少し人間くさい言葉で説明いたしますと、誰だってちょっとは、他人から見たら「おかしな面」を持っています。
それは、むしろ「ふつう」であり、それは「障害ではありません」という意味となります。


たとえば、誰かの性格の「クセ」みたいなものを、「気に食わない」と感じたとしても。
それは、その人なりの個性であって、「障害」ではありません。

たとえ、こちら側から見て、
「相手がおかしい」
「あの人は、おかしい」
と感じたとしても。
それは、あくまで性格の「クセ」みたいなもので、障害ではない。

人は、本当に「お互い様」です。
他人から見たら、私もあなたも、「クセが強い」と見えるかもしれません。
それは、障害ではなく、性格の差といえます。

クセの強い性格は、「パーソナリティ障害」ではありません。
重ねて、「パーソナリティ障害」とは「障害」であり、「性格が悪いこと」ではないのです。


社会常識で容認されるレベルの「性格のクセ」は、障害ではない

パーソナリティに由来する困難が、社会常識で容認されるレベルにおさまっていれば。
つまり、「空気の中に書いてある文字」のお約束ごとが理解でき、また、行動できるレベルにおさまっていれば。

それは、障害とは呼べません。
なぜなら、社会生活を逸脱してしまうほどの、極端な規模で起こっている現象とは、言えないからです。


ところが、このような基準の中に入ってくるなら、それは、障害の範囲に入ってくる現象となります。

特徴が極端な形で現れ、柔軟性がなく、長期間にわたって持続し、いちじるしい機能障害または主観的苦痛が引き起こされている場合に限って、パーソナリティと診断されます。

POINT |
・極端な形
・柔軟性がない
・長期間にわたって持続する
・いちじるしい機能障害 または主観的苦痛

このレベルからを「障害と呼びます」と、だいたいの境界線が定められています。

「パーソナリティ障害」とは、パーソナリティ(性格)の、機能障害です。
重ねて、「性格が悪いこと」ではありません。
そうではなく、パーソナリティ(性格)部分に由来する原因が影響して、生活に支障をきたす状態になり、それが持続している現象をさします。


| 一時的に、調子が乱れることは、誰にでもある。それは「パーソナリティ障害」ではない


わかりやすい例をとって、もう少し、理解を深めましょう。

たとえば、著者には、こんな経験がありました。

はじめて海外に留学した時の、はじめての通学の日の前。
著者(私)は、緊張でガチガチになって、はたから見ても、挙動がおかしかったと思います。
明日は、はじめて海外でバスに乗って、無事に学校までたどりつかねばなりません。
緊張のしすぎで、ストレスでリラックスできなく、不安で眠れません。目はつり上がって、緊張でイライラして、カリカリしていました。

そんな著者を、ルームメイトは一笑しました。
「リラックスして。どうせ私が、一緒に学校に行くから。緊張しなくとも大丈夫」

ところが、その言葉を聞いても、頭の中には、最悪を想定したシュミレーションがうずまきます。
万一、はぐれてしまったら、どうしていいか分かりません。
「まずは、地図を持たないと」
「お金は?」
「学校の住所と、家の住所は?」
「緊急連絡先は?」

ギスギス・カリカリして、周りから見れば、じゅうぶんに挙動不審だったと思います。
ですが、なんとか無事に、はじめての学校にたどり着き、留学も2日目、3日目となるうちに……。
イライラの症状は、あっという間に、どこかに行ってしまいました。
不適応は、おさまってしまいました。


一時的なパーソナリティ(性格)部分の歪みや不具合・不適応は、誰にでも起こる

その時の本人を、表面だけ見れば、緊張や不安が極限まで高まって、極端な形で出ていました。
行動も硬直していて、視野も狭く、柔軟性がありません。

でもこの場合は、持続性がありません。それどころか、同じような状況におちいると、多かれ少なかれ、誰でも同じようになります。
それゆえ、この状態は、性格(パーソナリティ)の部分に、持続的な障害をきたしたとは言えない。
つまり、「パーソナリティ障害」の基準には、当てはまらないことになります。


POINT |
結婚や離婚、転勤や転職、配置換え。
引っ越しや出産などの、人生の大きな節目。
人は大きなストレスを感じ、行動や言動が極端になったり、ナーバスになったりします。

でもそれは、一定の時期が過ぎ去れば、おさまってゆくもの。
このような一時的な出来事に対して、一時的に起こる症状は、「パーソナリティ障害」ではない、ということになります。

ストレスフルな状況は、人生の中で、誰にでも起こりえます。
一時的に、パーソナリティのバランスが崩れたり、社会に適応しづらくなることを、「パーソナリティ障害」とは呼びません。
それは、ストレス下においては、誰にでも起こることだからです。


| 「パーソナリティ障害」とは、具体的にどういうことだろう


それでは、どんなものが「パーソナリティ障害」に該当するのでしょうか。

一般的な分類では、だいたい大きく、3つに分けられています。


「パーソナリティ障害」は、大きく3つに分類されている

思考・感情・行動が、それぞれ「常識範囲」をどちらに飛び出すか。
その区分けにしたがって、「パーソナリティ障害」は、ざっくりと3種類に分類されています。


思考・感情・行動が、
[1]奇異な(おかしい)・普通でないほうに飛び出すタイプ
[2]派手だったり、突飛なほうに、飛び出すタイプ
[3]不安や恐怖に関連するほうに、飛び出すタイプ


3つの分類が、さらに細かに分類されている

大きく言って、上の3つの方向性の、どちらに極端に飛び出すのか。
飛び出す方向によって、3つの大分類が、さらに分けられています。

[1]奇異な(おかしい)・普通でないほうに、いちじるしく飛び出すタイプ
・妄想性パーソナリティ障害
・ジゾイドパーソナリティ障害
・失調型パーソナリティ障害
* 本解説では、説明を割愛する「型」となります。興味のある方は、ご自身で調べてみてください

[2]派手だったり、突飛なほうに、いちじるしく飛び出すタイプ
・境界性パーソナリティ障害
・演技性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害
・反社会性パーソナリティ障害

[3]不安や恐怖に関連するほうに、いちじるしく飛び出すタイプ
・回避性パーソナリティ障害
・依存性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害

「パーソナリティ障害」は、何度も重ねて言いますが、「性格が悪い」「性格にクセがある」ことではありません。
障害であるゆえ、きちんとした分類や、診断基準が設けられています。


| 「あっ!」と思ったら、とにかく受診。これが、キーワード


ひとつ後ろの記事で、上記それぞれの分類の中身を、細かく見てゆきます。
そして、見てゆくうちに、「あれ?」と気づく方が、いらっしゃるかもしれません。

「あれ?」
そんなふうに、心当たりがあるようなら、
「もしかして『パーソナリティ障害』?」
と、疑ってみる目を持てればいい。


なにせ、アメリカにおいては「100人に15人」の割合ともいいます。
全員が医者に殺到したら、医者が足りなくなるほどの規模で、発生している障害となります。

すでに、ケアーにつながっている方は、ご存知かもしれませんが……。
「自分ごと」として、いよいよ、自覚者が多くなっている症状です。
受診する方も増えてきていて、「パーソナリティ障害」きちんと診てくれるところは、とても混み合っていると聞きます。


「あれ?」と気づけたら、即行動。
いつでもこれが、安全と未来を守るため、大切なキーワードとなりますね?

それゆえ、次の記事では、もっと具体的な内容を見て参ります。
「発見されづらい」といわれる「パーソナリティ障害」に、きちんと気づくためです。





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