『未来日記』復刻 DIARY | BACK NUMBER – p.02[No. 06-10]

書籍『未来日記』
『未来日記』復刻 DIARY | BACK NUMBER – p.02[No. 06-10]


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2017年10月15日 UP
[ ONSA 公式 blog より転載 ]


「出版社が潰れました。ごめんなさい」
そんな連絡が、当時の編集者から、ふらりとメールで届いてから。

書籍『未来日記』の置かれた環境は、激変します。


「本の在庫が切れたら、どうすればいいの?」
「誰に、連絡を取ればいいの?」

「ど、どうしよう」
「これは著者として、読者にどう説明をし、どう責任を果たしたらいいというのだ......」

第一、連絡を「取る」といったところで......。
出版社が、すでに潰れてしまっていますから、連絡を取る「先」がない。


連絡をもらったっきり、右往左往する著者の元に、ある日。
ぴらりと1通、封筒が届きます。

宛名には、
「藤沢 優月殿」
と書いてあります。

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| 藤沢 優月殿。

おそるおそる、封筒を開けてみると......。

そこには、堅い文面の印刷された紙。
紙の上には、「出資者」とか「管財」とかいう、法律用語が並んでいます。
おまけに、「破産管財手続」と、書いてある。

「管財......」

私はあらためて、出版社が本当になくなってしまったという現実を、再確認することになりました。



ふと見れば、封筒の中には、もう1枚紙が。
おそるおそる広げて、よく読んでみると。そこには、こんな記載がありました。

「もし、残っている書籍が欲しいのなら、実費での購入を承ります」
「ですが、購入の意思がないようでしたら、書籍『未来日記』は、断裁した上で、処分させていただきます」

......ええっ!?
本を処分!?

新品なのに!?
作ったばっかりなのに!?


>> 本記事 " 『未来日記』復刻 DIARY |[06]ぴらりと1通、封筒が届く。"
元記事は、ONSA 公式 blog でご覧いただけます



2017年10月20日 UP
[ ONSA 公式 blog より転載 ]


書籍『未来日記』が、断裁されて、処分される!?

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その知らせを受け、著者は慌てて、電話をかけます。
記載されていた番号にかけると、つながった先は、どうやら倉庫。
行き場のなくなった、書籍『未来日記』が、格納されている倉庫です。

電話口の向こうからは、女性の声。
本当にありがたいことに、とても丁寧な対応をいただきます。

ですが、内容は、極めてシビア。
かいつまんでお話しすれば、こんな内容です。

「著者ですが、私もどちらかというと、被害を被った側なのですが、......それでも、やはり購入ですよね」
「そうです。5割引での、実費購入です」

とほほ......。


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原点の話に、ちょっと戻ってみます。

商業出版では、著者の責任は、コンテンツの作成と仕上げ。
出版社の責任は、印刷と流通、宣伝です。

得意が違う。
それゆえ、お互いに役割分担をして、相応の利益をもらいます。


ところが、この場合。
著者である私が、出版社が本来担う分も、状況的に担わないといけなくなってしまう。
予算計画も、著者の私にとったら、めちゃめちゃな状況。

いわば、著者の私が、10円の印税(収入)をもらうために、50円で本を購入して、再販売しなければならないという感じ。
その時点でもう、どう考えても、40円の損が、ひたひたと積み重なってゆくような話です。

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「ちょっと、考えさせてください」
そう言って私は、電話を切りました。


この、現実世界。

理想を言えば、きりがないです。

理想を言うならば、まるで英雄的な行為のように、私が本を買い取って、
「これで、売ることができるように、なりました!」
と、みんなに言うこともできる。


でも、現実はそんなに、簡単ではない。

本を買い取って、本を、在庫している間。
その本には、毎年税金がかかります。在庫している本は、資産だからです。

また、amazon では、引き取った本を販売できません。
なぜなら、「10円の収入を得るために、50円を投資していて、すでに40円の赤字が確定している」本。
それに、さらに amazon の流通手数料まで支払ったら、今度は、こっちが潰れてしまう。


もしも、この本を引き取るなら。
今後は弊社(ONSA)が、自社のストア(ONSA Yukkuri Store)のみで、じみじみ販売することになる。
特に、宣伝もない。
本当にそんな方法で、本が売れるのか......。

英雄的に、一時の情熱で、正義感をふりかざすようにして、本を引き取って。
その結果、巨大な赤字で、今度は自社が潰れてしまったら。

その時、自分のした行為を、私は後悔しない?
これは、本当にする必要のある選択?

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>> 本記事 " 『未来日記』復刻 DIARY |[07]『未来日記』、現実と直面する。"
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2017年10月23日 UP
[ ONSA 公式 blog より転載 ]


全身全霊を込めて、ひとつずつの単語に命を込めて、作った本。

その本が、作って1年もたたずして、「お蔵入り」になってしまう。
その「お蔵入り」を阻止するには、通常ではありえないリスクと、犠牲を払わないといけない......。

そんな状況を、書籍『未来日記』は、迎えました。

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「......はあ。どうしようかなあ」

これが、その時の、著者のため息。

「リスクを取ったところで、誰からも必要とされなかったら、意味ないしなあ」
「どうなるか分からないものに、リスクをかけていいものか......」



当たりまえだけれど、未来という時間は、分からない。
あらかじめ分かっている答えなんて、ない。

でも、その時ばかりは、こう思いました。

「どうすればいいのか、誰か、教えて」
と。

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本が、「お蔵入り」になるかもしれない経験。
その経験は、本質的なものごとを、考えることを強いてきます。


それは多分、こんなものです。

- 本を作るって、何?
- 責任感とは、何? 
- 「したいこと」と、「できること」の線引きは、どこにあるの?

そうやって、自分自身に問いかける時間。
それはまた、電卓を何度もはじいて、リスクを熟考する時間でもありました。



そうして、幾日もが過ぎた結果......。
自社の契約倉庫に、「書籍が入庫します」と、連絡をした後。私は、『未来日記』が「お蔵入り」して眠っている倉庫に、電話をかけました。

「引き取ります。問題なく使える書籍は、トータルで何冊ありますか?」

私の出した結論は、「引き取る」でした。



「金額の計算に、間違いないですね?」
何度も確認をした、その金額。
それは、私が『未来日記』を書いたことで受け取った報酬の一部を、完全に吹き飛ばしてしまうような金額。

でも、きれいごとでも、なんでもなく。
その時私は、こんなふうに、答えを出しました。

そして、その時出した答えが、私の著者人生の中で、今でも基盤になっています。


それは、「本は、誰のもの?」ということ。

本は、「みんなのもの」。



本は、著者一人の独りよがりでもなければ、出版社が、「売るため」に嘘をついたり、盛ったりしたりしていいものでもない。
そんなことをすれば、読者はうすうす、勘づいてしまう。
そして、そんな本は、早晩買われなくなってしまう。

でも、この3者が、絶妙なバランスで存在しているゆえ、本は存在している。

それならば......。
もしこの本で、役に立てる人がいるならば、役に立ってほしい。

使ってくれた人に、笑顔が戻ってほしい。


そう願って、もともと、たくさん工夫をして、吟味して作ったのに。
役に立てる機会も奪われ、断裁されて、「亡きもの」にされるなんて。それでは、本が無念だ。


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どう考えても、赤字が積み重なってゆくだけの、電卓計算。
それを、最後の最後の時点で超えたのは、やっぱり「想い」でした。


「想い」という、たった2文字の、本当に平凡な単語。

でも、この「想い」がなかったら、そもそも、本なんて作らない。



書籍『未来日記』は、私の名前で出された、何十冊目の書籍。
でも、この経験が私に、本作りの原点を再確認させてくれました。

それは、
「本は、私にとっては、単なる自己表現ではない」
「誰かの役に立ってほしいから、私は本を作る」

という、当たりまえのことでした。

>> 本記事 " 『未来日記』復刻 DIARY |[08]役に立ってほしいから、本を作る。"
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2017年10月29日 UP
[ ONSA 公式 blog より転載 ]


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あやうく「お蔵入り」になる羽目におちいってしまった、書籍『未来日記』。
ですが、無事著者買い取りのすえ、ONSA(著者の事務所)が契約する倉庫に、本が搬入されてきました。



「はあ......。これで、まずは安心」

在庫は、現状では、たっぷり確保。

まずは、ひと安心です。
『未来日記』を、必要な人に届けることが、ひとまずですが、可能になりました。

売れば売るほど、赤字が拡大してゆくという、皮肉な本。
ですが、ひとまずは、必要としている人の手に本が渡る状況だけは、作れました。


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ところが、やっぱり、皮肉な状況は続きます。
それは、けっきょくのところ、数に限りがあるということ。

「書籍『未来日記』が、届きましたよー!」
そんなふうに、ブログ等で、ばんばん宣伝をして。ある日、書籍が底をついてしまったら......。

今度こそ、どうしようもありません。
だって、本を増刷するための、印刷の版(データ)がありませんから。


手元になにか、本があったら、ちょっとご覧いただくと分かる。
本というのは、さまざまな工夫が凝らしてありますよね。

まずは、読みやすい色。
レイアウト。
つまり、文字が大きい場所があったり、見出しがついていたり、フォントが変えてあったりする。

イラストが入っていたり、紙がつるつるで、めくりやすかったり。
あるいは、本が「パッ」と開く、綴じ方(製本のしかた)がしてあったり。


商業出版の本には、まさに、「プロの仕事」が詰め込まれています。

ただ、文字が並んでいるだけではない。
それを届けるのに、ちょうどよい形に入っているからこそ、本は生きる。

そして、その形を全員で作ってゆくという作業が、出版という作業。



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そして、その「形」......印刷の版(データ)は、出版社が持っています。

印刷の版(データ)にかかる権利を、「版権」と言いますね。
出版契約書に定められている通り、著者が「著作権」を持ち、出版社が「版権」を持つことによって、出版という作業が成立しています。

逆に言えば、著者である私は、「著作権」は持っていますが、「版権」は持っていない。


「版権」を、持っていないということ。
それは、本が足りなくなっても、刷る権利もないし、刷ることもできないということ。
言い換えれば、本を刷る上でのデータも持っていないし、刷る権利も持っていないうこと。

それゆえ、書籍『未来日記』の在庫が底をついたら、今度こそ本当に、本を届けられないかもしれない。



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......という著者の心配をよそに、書籍『未来日記』は、刻々と届けられてゆきます。

宣伝を一切しない......というよりも、「できない」。
ご縁のある方・偶然在庫を見つけた方、検索でたどり着いた方に、コッソリと売っている状態です。
それなのに、必要な人の元に飛び立ち、在庫がぐんぐん減ってゆく。


あげく、最後は、こんな状態を迎えます。

「念には念を入れて、残しておいた」という、著者の個人在庫。
その、プライベートな二十数冊も、ついに、倉庫に送る日がやってきました。

「もう、これがなくなったら、......どうしよう」
「本当に、すってんてんに、書籍『未来日記』がなくなってしまう」


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2017年11月10日 UP
[ ONSA 公式 blog より転載 ]


新品なのに、断裁されて、処分されてしまうはめだった、書籍『未来日記』。
そんな状況から、何とか救い出した『未来日記』。

ですが、救出した『未来日記』は、私が哲学している間にも、在庫がどんどん減ってゆく......。


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どうしよう。
今度は、別の悩みだ。

版(=版権)がない。
印刷データも、ない。

しかも、私(著者)が持っている権利といえば、パイのうちの半分の、「著作権」という権利。



これが、どういうことをさすかというと......。

今、手元にある本が、全部なくなっても。
私(著者)には、本を印刷する権利がない。

つまり、今在庫しているものがなくなったら、お先真っ暗。



在庫、減ってゆく......。


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ふたたび、哲学する日々のスタートです。

以下は、著者のつぶやきです。



インディーズ制作みたいにして、自費出版みたいにして出そうか。
私が書き直して(=完全に全部「書き下ろし」直して)、タイトルもつけ直して、「別の本」として出してしまえば。版権の問題は、完全に、関係なくなる。


それなら、電子出版(e-book)で出そうか。
そうすれば、制作のハードルも、ぐっと低くなるし。

......いやいや。
それ、ダメじゃん。

これ、そもそも「書くスペースつき日記」という、コンセプトだし。
それゆえ、紙ベースじゃないと、あまり意味ないし。


同人誌みたいな、小規模出版をしているところなら、レイアウトと印刷を、依頼できるだろうか。
でも、いずれにせよ、レイアウトをし直さないといけないな。

そうすると、イラストもまた、書き直してもらわないと、いけなくなる。
イラストレーターさんにお願いすると、どれぐらいの予算になるのだろう。


レイアウト......。
これが、いちばん高価だろうな。

そして、最大の、頭痛の種。
デザインは、まさに書籍の、全体を左右する作業だから。

いい人が、見つかるだろうか。

......いや、見つけるだけなら、今日にもで見つかるでしょう。
『夢かな手帳』をレイアウトしているデザイナーや、その他書籍をレイアウトしてもらったデザイナーたちなら、周りに、山ほどいる!

でも、問題がある。
弊社(ONSA)で払える、デザイン費用なのかな。


......いやいや。
そもそも、1冊の本に、著者がそこまでする必要が、あるのだろうか。
ここまで障害だらけなら、「あきらめ」「引き際」ってやつも、むしろ肝心なのではないだろうか。



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ぐるぐる、ぐるぐる、哲学です。
ですが、悩んでいるうちに、書籍『未来日記』(1刷)の在庫は、風前のともしび!

残り100冊。
残り50冊。
残り20冊。
......残り10冊!

決断を迫られる状況が、予想外のスピードで、あっという間に迫ってきました。
さあ、どうする!?






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