『未来日記』復刻 DIARY |[11]「少しお時間をください、調べてみます」

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断裁されて、捨てられる危機から、間一髪で救出された『未来日記』。
ところが、件の書籍といえば、飛ぶように、びゅんびゅんと旅立ってゆきます。


あれほどあった在庫が、もう、風前のともしびに……。

「どうしよう。」
「私には、刷る権利(=版権)もないし、印刷データもない」

「このひと山がなくなったら、本当に、在庫が終わる。」
「在庫が終わったら、届け続けられない……」



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思いつめた私は、ふと、1枚の書類のことを思い出しました。

忘れもしない、あの日。
ぴらりと送られてきた、出版社の破産を知らせる、1枚の書類です。



封筒を取り出して、久しぶりに、紙をひらいてみます。
そうして、たどるように、ひとつずつ。おそるおそる、文章の内容を、確かめてゆきます。

すると、そこには、破産管財人の名前が。
破産管財先は、東京の、とある弁護士事務所となっていました。


そして、その下には、日付。
……ああ、なんということだろう。

書籍『未来日記』の行方を探したり、引き取ったり。必要な人の元に届けられるように、自社で売るための準備を整えたり、実際に売ったりしているうちに。
破産管財の行われた日付から、あっという間に、1年以上の時間が経っていました。


まるで、竜宮城にいるかのように。
たちまちのうちに、時間が過ぎ去っていたのです。


1枚の紙を前に、私の心は、ウロウロと往復します。

「今ごろ連絡をしたら、引かれるだろうな」
「『もう、担当者もいません』なんて、言われるかもしれない」

「でも、ダメ元で、状況を確認してみても、いいかもしれない」
「破産管財の結果は、多分もう、すでにケリが着いてあるはずだから」

「誰に権利が移ったのか、今はどうなっているのか」
「何か、情報があるかもしれない」


どう客観的に考えても、弁護士事務所にしたら、迷惑なこと。
「今さら」という、時間の経過です。


ですが、私も必死。
何回か、迷った後……、
「ええい!」
勇気を出して、電話に手をかけます。

「もしもし、貴社で管財を担当された際に、当事者となった著者ですが……」


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後から振り返った時に、くっきりと分かることがあります。
書籍『未来日記』が、無事に復刻できた陰には、たくさんの、偶然の計らいがありました。

偶然の計らいのもとには、いつも、「人」がいました。

そして、奇跡のスタートは、この1本の電話から。



電話の向こうには、女性の声です。
弁護士事務所の事務の方は、こちらの言い分を、優しく聞いてくださいます。

そうして、戻ってきた返事は、このようなものでした。

「すみません、すでに済んでいる管財ですので、書類一式が、倉庫に行ってしまっています」

もちろん、当然です。
私は、気落ちしかけました。
すると……、


「少し時間をいただけますか? 版権がどうなっているか、譲渡されているのか放棄されているのかを、確認します」


「譲渡? 放棄?」
版権には、譲渡と、放棄があるのか……。

うっすらと、そんなことを思ったことを、覚えています。
そんな中、
「少し、お時間をください」
の問いかけに、
「もちろんです!」
「本当に、ありがとうございます!!」

とお礼を伝えて、ひたすら待ちます。


細い糸が、かすかに、つながった気がしました。

そして、つなげてくれたのは、人の優しさ。
会ったこともない、互いに見知らぬ人の、親切心でした。



弁護士事務所という存在は、毎日毎日、あちこちから降ってくる案件で、てんやわんやでしょう。
それなのに、すでに解決済みの、過去の書類を掘り出すことに、時間を割く義務も道理もないはずです。しかも、そうしてくれたところで、弁護士事務所としたら、何のお金にもつながらない……。


申し訳なさの入り混じる中、ドキドキとした気持ちで待つこと、約1ヶ月。
弁護士事務所から、返信が来ました!



【 復刻完了いたしました 】
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