[ ONSA 通信 ]の続きを書くには、日付が、だいぶ経ってしまいました。
ですが、このトピックだけは、ずっと書きたかったのです。
私が現在住む、通称・欧州著者地方。
首都の中心部に住んでいるのですが、「首都」という言葉からは想像できないほど、自然が豊か。
自然が豊かだと、さまざまな生き物がいます。
豊かすぎて、あつまれどうぶつの森状態ですので、ご報告してみたいと思います。
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たとえば、ふつうに、そこらじゅうにいるのが、てんとう虫。
最初は、「わっ! かわいい!」とウキウキしていましたが、じき、気づいてきました。
……あまり、珍しい生き物ではないのだな。
というか、てんとう虫が珍しくなってしまう状況が、きっと、おかしい。
それぐらい、どこにでも、いつもいる。
手帳のあいだにはさまって、休憩をとっていたこともありました。
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蜂も、さまざまな種類がいます。
集めた花粉で、真っ黄色になった蜂が、目のまえを横切ってゆくことも。
ほんとうに働き者で、未明に窓をあけると、室内に入ってきます。
それらを外に出すことから、1日がはじまることも。
ハトはまったく逃げないし、名前がわからない鳥たちも、かわるがわる、テラスにあらわれます。
そして、置き土産を残してゆく。
ちなみに、この地では、カラスがツートンカラー。
グレーのベストを着た感じになっていて、けっこうかわいいですよ。
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特筆すべきは、アリです。
そしてこの夏、アリとの、ちょっとした諍いがありました。
「アリは、いつか出るのだろうな」
そう予感して、日本を離れる時、引っ越し荷物の中に、アリ対策の薬を入れました。
(引っ越し会社に確認済)
そして、案の定です。
夏の盛りごろから、ちらほら、アリを見かけるように。
ある時など、ごはんを食べていたら、ひと粒の胡麻をせっせと運ぶアリが、テーブルの上を横切っていったことも。
その時は、
「すごい。教科書どおり」
「アリってやっぱり、力持ち」
などと思っていたのですが、数日後に、見事に行列を作られました。
振り向いたら、立派なアリの川が。
そこから、アリとの格闘の日々がはじまります。
たとえば、前述のてんとう虫が、室内でこと切れていた場合、これも、アリの餌食に。
まさに、てんとう虫を運んでゆこうとするアリを、発見したこともあります。
別の時は、落ちたばかりの米つぶを運ぶアリ軍団と、目が合ったことも。
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こちらとて、日本の薬剤を、根気強く仕掛けます。
ですが、この地は乾燥しているので、蜜状の薬剤が、たちまちドライに。
著者宅は基本、食品を全て密封しているので、アリが狙っているものがわからない。
でも、毎日根気よく、拭き掃除を繰り返します。
ほか、重曹だのレモンだの、ネットで調べた方法を駆使しますが、いっこうに効きません。
もう仕方がない。
最終、当地の薬剤に頼ります。
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成分の分からない薬品を使うのって、怖いじゃないですか。
でも、そこは現地民を信用して、勧められた薬剤を撒いてみる。
結果……神よ。数週間にわたる、あの格闘はなんだったのか。
ぴたりと、アリの進軍がストップ。
パッケージの、かわいいアリのイラストからは想像できない、瞬殺の効き目です。
戸棚をあければ、アリ。
狙うものもないはずなのに、アリ。
朝起きたら、またアリ。
この日々が、やっと、終わりを告げようとしています。
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あらためまして、欧州著者地方は夏が終わり、気温が一気に晩秋(……いや初冬)。
ただいまはもう、長袖にウールの靴下、ダウンスカートのいでたちです。
次の暑さまで、欧州どうぶつの森は、少し、休ませてほしい。
日本にいた時とは、桁違いの活動量の生き物たちに、振り回された夏でした。
それでは、また。
日本は残暑厳しき折、くれぐれもご自愛ください。